昔居た会社で「お客様のため」というのが口癖の上司が居た。彼をS氏としておこう。彼は口ほどお客様のために動いておらず、それどころか遅刻・無断欠勤の常習犯だった。今までおなじような決め台詞の男は何人が居たが、ロクな人間がいなかったのは偶然ではないのかもしれない。そして、しばらく見なかったが、最近お客様のため男に出会う羽目になった。典型的なその手のタイプの男だ。


お客様のため男は大概自分で解決するスキルを持たない。だからこそ言葉を使い、人に仕事をさせようとする。自分だけは楽したいし、客には嫌われたくない。今回は納期間近に仕様変更が来た。想定どおり勝手に約束をし、「責任は取るからがんばってくれ」とかいうやつだ。何に対してどう責任を取るのか知らないが。


どちらにしても納期間近での仕様変更なので、徹夜しようがなんだろうがうまくいかない可能性がある。やりたければ、一度クローズしてその後仕様変更のスケジュールを組むのが当たり前だ。この段階で修正を入れると下手にバグ入りのものを納品する羽目になり、それこそお客様のためにならないのではないか、と説明した。しかし、彼は客に良い顔をしたいのでゴメンナサイができないのだ。この子供じみたやり方、本当にお客様のため男のやることはだれも彼も似ている。とりあえず説明責任を果たしたので、体調不良で休み・実家の都合で定時退社の華麗な連続技を使用し、時間的に不可能な状態にした。当然お客様のため男は激怒した。


先述のS氏とは若さゆえにやりあったが、それ以降お客様のため男と出会っても、表立ってけんかにはならなかった。が、今回は色々あったのと、当のお客様のため男が政治的にそれほど強くなかったので(僕もズルイけど)、久しぶりにけんかになった。


・俺はお客様のために仕事をしているわけじゃない

・見積もりもできないくせに勝手に約束するな

・お前の仕事は無責任すぎる

etc etc

最後に、

・お客様のために死ねば?


当然彼との関係は修復不能のものとなってしまったが、日本全国に蔓延しているお客様のため病は他人様を死に至らしめるやっかいな病なので、こういった荒療治も必要だろう。まぁ、彼がたいして実権握っていないからここまで言えただけのことだが・・・・


お客様のためとか軽々しく言う奴は、少しくらい羞恥心を持った方が良いと思う。