羽生と森内の名人戦だが、例年4月はこれだけが楽しみなのに、今回は一番つまらないものになった。先手番にもかかわらず森内が待ちの態度を崩さないからだ。去年までの名人戦ではここまでではなかったのでそれなりに白熱したのに残念だ。良い将棋を指したい羽生と自分の戦法で勝てればよい森内、最初から羽生に不利な将棋なんだろう。
このあたり羽生ファンが非難する理由かもしれないが、これはこれで仕方が無いのかもしれない。森内将棋は相手が乗ってくることを前提としている。そして、ミス無く待つことが必要なので考える時間が長いことも重要だ。そういう意味で羽生相手の名人戦はもってこいなのだろう。 現に森内の他の棋戦の勝率は名人とは思えない程度のものとなっている。名人から落ちた後森内がA級にとどまれるとは思えないくらいだ(持ち時間が長い順位戦なのでそうでもないかもしれないが)。 本人もそう思っているのではないだろうか。
今回の森内の勝利は落日のものに見える。又羽生にしても、終盤で投げやりになったように見えるが、なぜああしたのか分からない。そんな風にするくらいなら待ちに徹して、千日手で先手番を取ってからやり直せば良い。そうすれば時間も短くなるわけだし、ほぼ羽生の勝ちになるわけだから。羽生の価値観も中途半端に思える。このまま行けば森内が再度防衛すると思われるが、これは相性というか将棋の力以外の部分で決まっているので全く面白くない。