以前清水市代が「あから」に負けたとき、対局を断ればよかったのにと思った。コンピュータ相手に勝ったところでメリットはないし、負けたら負けたで囃されるので断れるのなら断ったほうが良い対局なのだろう。


この前死んだ将棋連盟会長である米長の著

われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る [単行本]

に書いてあるが、羽生(ないしは他のトップ棋士)と対局する場合は賞金を7億要求するというお触れを出したらしい。その金額の根拠は「コンピュータと対局するならばすべての棋戦を休んで一年間準備したい」という羽生の発言ということらしい。1年休むというこはタイトルやらシード権やらを放棄することになるのでとても一億や二億で羽生に指してもらうわけにはいかないということだ。羽生の断りようは佐藤康光の「固くお断りします(前出の著作)」に比べるとなかなか賢い逃げ方であるといえるが、逃げたと一概に言えない節もある。


米長は初手6二玉という人間相手ならまず指さない手を指している。これがどの程度成功した手であるか僕には理解できないが、「対コンピュータ戦は対人間とは別の戦略が必要であり、対コンピュータへの研究は対人間での戦いにあまり役に立たない」ということはよくわかる。つまるところ対人間の研究をしながら対コンピュータの研究をするのは時間的に難しいということで、棋士としては対人間でお金をもらっているわけだから対コンピュータにそれほど時間はかけられないというのは少し考えれば分かることだ。


今回電王戦で一勝三敗一分でコンピュータが勝ったわけだが、この棋戦、最初から何一つ興味を持てなかった。人間VSコンピュータを本当にやりたいのなら、対人間戦を休んでまでやりたくなるような賞金をださないと人間側にやる気がおきないだろう。そういう意味で羽生の発言はかなり納得できると言える。