昔TAITOという会社があった。インベーダーゲーム、アルカノイド、バブルボブル等の名作で有名なのだが、名作快作怪作凡作駄作などあらゆるクオリティーのゲームを出していた。TAITOというとTOAPLAN開発ゲームの販売元なのだが、TAITO自体もシューティングゲームが多い。TOAPLANのが好きだった僕にとってTAITOはシューティングゲームの会社だった。TAITOのシューティングゲームはゲームとしてかなりいい加減なものが多い。名作と言われているガンフロンティア、メタルブラックも演出と音楽はすばらしいがゲームとして面白いかと言われると手放しで肯定できないし、飛鳥&飛鳥のようにどう見てもお足が取れるようなものではないものも多い。演出、音楽、ゲーム性完成度の高いゲームと言えばレイフォースくらいしか思い浮かばない。つまり、TAITOのシューティングは、名作だとしてもゲーム性が高いわけではない場合が多い。その中で初代ダライアスは大変惜しい位置にあると思う。
ダライアスで初めて遊んだ時期は社会人になった後で、場所は新宿のゲーセンMIKADOだった。中学のころ発売されたダライアス2にはかなりがっかりさせられたので、それほど期待していなかった。実際ゲームをはじめたあたりは、とてつもなく単調なゲームと感じた。が、結果から言ってしまうとこれが面白かった。当初この面白さをメタルブラックのような音楽と演出によるものと考えていたが、やはり3画面という広さにこそ面白さがあるのだと思い直した。ダライアスのウリである巨大ボスのために3画面あるというのもあるが、それだけなら2画面でも良いと思う。3画面には別の面白さがある。ただ、その面白さがわかるには時間がかかる。4面ボスのピラニアが立ちはだかるからだ。

ダライアスはミサイル→レーザー→ウェーブの順に、それぞれ7段階ショットがパワーアップする。ミサイル7段階パワーアップした後のパワーアップで最弱段階のレーザーになるという具合だ。順当にパワーアップするとピラニアの時点で5段階目か6段階目くらいのレーザーになっている。が、レーザーはパワーアップ段階にかかわらず弱いと言うかものすごく使いにくい。中の処理のことはわからないが細くて短いのが画面に4発くらいしか出ないから、弱点のクチの部分に当たりにくい。だから結構な数の人たちはミサイルからあえてパワーアップせずにピラニアをクリアしていた。そうすると最終面(7面)付近ではどれだけ頑張ってパワーアップしても初期段階のウェーブ止まりとなる。それどころか、ともかくレーザーが使いにくいので、最後までミサイルからパワーアップせずに行く人も多い。そうすることで難易度は下がり、多分苦手な人でも何とかクリアできる絶妙な難易度になる。が、それではダライアスの面白さの何割かを体験できていないことになる。ミサイルで進むなら3画面も要らないのだ。

4面のピラニアをレーザーで倒すと、5面と6面半ばくらいまではレーザーで戦う破目になり、これが結構イライラする。先述の通り、グラディウスのような長いレーザーではなく短くて細いレーザーが画面に4発くらいしかでないので、非常に当たりにくいのだ。だが、このあたりのイライラが最終面付近での最強ウェーブで一気に報われる。ウェーブの最強段階までパワーアップすれば最終面は5面や6面よりもはるかに簡単だ。幅の広いウェーブが背景を貫通して画面の端から端まで雑魚を破壊していくからだ。こういってしまうとつまらなそうに聞こえるが、これがとてつもなく爽快だ。多分レーザーには4面ボスのピラニアどころか3面の終わり付近からずっと苦労しているからだろう。この報われた感を伴って、3画面を掃討していくウェーブに感動さえ覚える。

ダライアスは名作だ。だが、難易度を落としてミサイルだけで遊んだ人にとっては良作にすぎない。それは3画面の迫力を存分に伝えられないからだと思う。ピラニアをもっと後の面に持ってくればゲーム性も上がり、演出に頼っているという評価から幾分逃れられただろう。紛れもない名作になったと思うので残念なことだ。