僕はアル中だった。数年前最後に会社に属したときのγGTPが150くらいあった。それ以降フリーランスと言う立場でやることが多いので健康診断は強制ではない。だから一度も健康診断に行っていない。今自分の肝臓の値がどの程度なのか知らないが、多分相当悪いのだろう。多分断酒というものは無理なのだ。一時的に出来ても、どうせ又飲むに決まっている。
20代後半に差し掛かったあたりからアル中っぽい症状になった。その一日を見てみると、朝ホッピー当然焼酎入りなものを飲みながら朝飯、又松屋で朝飯を食う場合は当然ビール付。昼は飲めないと思いきや、弁当とビールを持って川原で食べる、外食ならば当然ランチビールを飲む。夜は当然飲みに行く。そして帰ってからも飲む。会社の仲の良い先輩が心配してくれて、僕のことを病気だと言ったのを覚えている。土日だが20代半ばまでは、人と遊ぶか大量に本を持って一日中ファミレスですごすかの二択程度だった。が、そのころはあれほど好きだった読書というものを滅多にしなくなり、人と会うのも面倒になり一日中家で飲んで過ごした。 よく考えれば惰性なのだがあれはあれで楽しかったのだ。友人が減り、本を読まなくなったとしてもその代わりに酩酊した状態の楽さというのがあったので納得している。何、どうせ人生なんて暇つぶしだ、どうせ暇つぶしなら酔っ払うのが楽だ。

 20代前半のまだアル中ではなかったころ、バーによく行っていたが、バーから帰ってからは飲まなかった。そこでは新しい酒を開拓する楽しみがあり、正に「少量の酒を嗜む」という楽しみ方だった。様々な酒に出会い感動したのだが、アル中になってからはとにかく量を飲むだけで味がわからなくなっていた気がする。一万円近いスコッチを買っても一日でガブガブ飲んでしまうのだから当たり前だ。日本酒もいろいろ好きな酒があったのだが、結局量をこなすだけなので最後は一升の酒パックとなった。これも一日で空けてしまう。ビールなんて水と同じだ。もはや酒自体に楽しみがなくなっていた。

こうなると絶対やめられないのだが、今年5月に自転車に乗り出してから少しづつだが変化があった。飲むと遠くまで乗れないし、自転車保険に入っているのだが飲むと保険が降りない。というわけで土日、特に土曜日は帰ってからすこし飲むくらいになった。100キロも走るとビールとかアルコール類よりもジュースなどがほしくなるので酒量はかなり減った。土日共に走っている時期は日曜の酒量もかなり減った。一日中飲みっぱなしだった土日の酒量が減り、それに慣れたのかなぜか平日もあまり飲まなくなった。こういう生活になって3ヶ月、最近では平日寝る前にお猪口いっぱいの日本酒のみで、休日にビール一本づつあけるくらいまでに減っている。飲酒量としてはかなり健康なものになってきた。

やはり、どこかで飲まなくなるきっかけが必要だったのだろう。それが強制されたものだったり、意識的な断酒だったら続かなかったに違いない。断酒の後少しでも飲むと元に戻ってしまう人もいるようだし、その心理はすごく良くわかるのだ。重要なのは断酒ではなく「少量の酒を嗜む」という状態に戻ることなのだろう。自転車での長距離サイクリングは、血尿が出たりして前立腺とか損傷してそうで健康に悪い面もあるのだが、自然と「少量の酒を嗜む」状態に戻れたという意味でかなり健康に寄与している。多分寿命が数年単位で延びたことだろう。まぁ、現状で肝硬変になっているという可能性は否定できないのだが・・・・