首を長くして続編を待つというのはもどかしいながら楽しい経験だ。そのもどかしさゆえ、様々な理由で続編が出ないことに怒りを感じることはあるが、逆に続編が出てほしくなかったと思うものも多い。その原体験がBRAI上巻だった。

BRAI上巻は名作ということになっているが、色々難点のある作品だった。一つは展開がくさくて幼稚というのがある。あれが恥ずかしいので好きになれなかった人も居た。そして、絵が聖闘士星矢のアニメーターが書いているというのが話題になっていて本当に良く似ていた。主人公の必殺技も乱打というやつでペガサス流星拳そっくりな感じで二番煎じくさい。さらにシステムが駄目だ。はっきり言って戦闘その他は最近のフリーゲームよりも相当悪いくらいだ。あの当時でもファルコムの英雄伝説とかあったわけだし、それらと比較するとレベルが相当低いといわざるをえない。それでも当時べらぼうに面白かったのだ。そんなくさい展開は少年誌や小説で良いだろうという向きもあるかもしれないが、やはり自分の愛しているメディアでそれを見たいのだ。PCのRPGでその展開が見られる、最高じゃないか。又、音楽も良かった。SHOW-YAとかいうバンドから提供された音楽らしく、これが又ゲームの要所要所に効いていてぴったりだった。さらにエンディングは音楽との相乗効果で下巻への期待感をあおるものだった。下巻が待ち遠しい、そう考えた人は多かったと思う。僕だってそうだ。人前では斜に構えて否定しながらも、こういう王道展開を自分の愛するメディアで見たいのだ。
下巻を買いに行ったことをよく覚えている。雪が降る正月明けだった。お年玉を握り締めて大須のショップに走った。3.5インチを間違えて買って慌ててもどって交換してもらったのを覚えている。家でオープニングを見ていると親父が帰ってきた。親父はパソコンを買った張本人だが、ゲームをやっていると殴られるのであわててやめたのを覚えている。オープニングは結構長かったのでその日のうちに本編は遊べなかった。

・・・・・そこまで高揚していただけに、実際に遊んでみるとその出来に目を覆った。まず音楽がすごくヘボくなっている。シナリオは大仰で起伏のあったものがただの幼稚なものに成り下がっており、もともと良くなかったシステム周りはさらに悪くなっていた。色々新機軸を入れようとしたのは解ったのだが、ちがうのだ、君らのプロダクトにゲーム性など求めていないのだ。第一その新機軸がどれもつまらない。いやもう、システム周りはどうでもいいのだ。皆、少年誌のような大仰な展開と興奮するサウンドを求めていたのに、このゴミはなんなのだ?結局最後リリアンとハヤテが恋人っぽくなった腐った恋愛漫画みたいな展開を覚めた目で見たあと、すぐに中古屋に売り払った。新品価格と売却価格の差は普通に損失であり、あのゲームには消費した時間を考えると、損失以外のものは何一つ無かった。ブライに下巻は無かったのだと自分に言い聞かせた。

そうこんな思いをするくらいなら続編など要らない。カムイ伝も第三部は出なくても良い。カラマーゾフの兄弟だって続編が出なくて良かったのだ。ブライ下巻は大人への苦い脱皮を後押ししてくれた逸品である。