僕は文系で、大学時代の文系数学でさえ赤点ギリギリだった。だが、働き出してから統計の仕事をしたくなり勉強を始めた。わけがわからないなりに本を買いそろえて、もう時効だが母校に忍び込んで天ぷら学生をやったりした。その経緯もあり数学の本は結構買った。松阪和夫の解析入門から始まって、コンピュータサイエンスのための離散数学、わかるシリーズの微積分などの実用系からイプシロンデルタみたいなどちらかというと読み物系(あくまで自分にとってはだが)まで結構な本を買い込んだ。だが、数学だけの練習をしても飽きる。最初は目新しいのだが、だから何だという気分になってきたものだ。数学だけでは箱庭感が実感できないからだろう。
この本はアナログ電子回路をすこしばかり理解できたので、回路に関係なくアナログ信号を重点的に勉強したいと思って買った。150ページしかないのに2800円もするのでかなり高価な本だ。クソ高いので、一時間くらい立ち読みしたのだが、感動して買ってしまった。
僕がアナログ回路に魅せられたのは、それが箱庭の世界だからだ。ゲーデルとかリーマン空間とか考えると厳密には違うのかもしれないが、アナログ回路の世界はアナログ回路の法則で説明できる箱庭の世界だ。で、この信号処理入門はアナログ回路の中でさらに狭いアナログ信号を数学で説明する話だ。すべてのアナログ信号、つまり音、温度、場合によっては画像を共通の数学的の世界で説明するのだ。共通と言ってもバリエーションが多いんだろと思うかもしれないけど、本当に共通で、パラメータを変えるだけなのは最初本当に驚いた。なっとくする電子回路よりさらに箱庭感が高まった。買ってから一週間経ってやっとフーリエ変換が理解できた。これは面白い世界だ。
だが、この本やっぱり高い。ネットで検索した方が圧倒的にわかりやすいし、本としては値段に全くつりあってないと思った。